働く喜びを教える為に元受刑者を採用する小沢輝真の挑戦

働く喜びを教える為に元受刑者を採用する小沢輝真の挑戦

こんにちは!人事組織コンサルタントのレイルです。

昨今、北洋建設という社名を目にする機会が増えてきました。
北洋建設は日本で最も受刑者を積極採用している企業です。
Facebook広告のYahoo!ニュースに出てきたのをきっかけに今回の記事を書くことにしました。
北洋建設は古き良き日本の会社です。そんな北洋建設の紹介と活動内容をご紹介したいと思います。

会社情報

基礎情報

社  名:北洋建設株式会社
設  立:1974年12月
事業内容:建設業
従業員数:約60人
代  表:小澤 輝真

事業概要

北洋建設では下記の事業に取り組んでいます。

  • 足場設置
  • 標識設置
  • 築工事
  • ビル解体工事
  • アスベスト撤去工事

 特徴

受刑者を積極採用

北洋建設は日本で最も受刑者を積極的に採用している企業です。
社員60名のうち17人が刑務所や少年院の出所者という驚きの数字。
日本で最も元受刑者の比率が高い会社ではないでしょうか。

全国の刑務所に求人募集の資料を送り、受刑者を積極的に採用し続けています。
なんと設立から44年が経った今では、受け入れた元受刑者の数は500人を超えています。
これまでに受刑者の採用にかけた費用は2億円を超え、今でも毎月40~50万円の負担をしています。

社宅完備

北洋建設では12人が住める3食付きの社員寮を保有しています。現在は半分が元受刑者が住んでいるそうです。
財団法人 労務行政研究所の調査結果(2008年4月15日)では300人未満の規模の会社では社宅の保有率は8.1%でした。
どんどん社宅保有会社が減っているので、とても珍しい会社と言えるでしょう。

社長 小澤 輝真さんの紹介

概要

1974年10月31日生まれ。北海道出身。小澤さんが17歳のときに父親が「脊椎小脳変性症」で亡くなる。
父親が創業した北洋建設を2014年4月に引き継ぎ、受刑者の積極的雇用、障がい者の就労支援に取り組む。
採用時に重視しているポイントは「働く意欲」があること。受刑者から応募があった際は社長自ら面接に向かう。

難病との闘い

30代半ばで、50歳で亡くなった父親と同じ「脊髄小脳変性症」と認定される。
「脊髄小脳変性症」はベストセラーになった1リットルの涙の主人公である木藤 亜也さんと同じ病気だそうだ。
大脳は正常に機能しているため、知能に影響はないが、小脳が委縮するため、言語障害や体に機能障害が現れてしまう。

誰よりも勉強熱心

若いころはやんちゃをしていたのか高校は中退していますが、後に高校、大学を卒業されています。
2012年には日本大学を卒業。2015年には、放送大学大学院にて「再犯防止のための雇用」をテーマに修士号を取得。
資格が集めるのが趣味で保有数は70以上。

何故、受刑者を積極的に採用するのか

人材不足の解消

元々はバブル期の人材不足を解消する目的で、先代の社長である父親が近くの刑務所から受刑者の採用をしていました。
その為、小澤さんも引き続き受刑者の採用を続けました。
働く熱意ある人を採用する為、近くの刑務所から採用するだけではなく活動を全国に広げる。

受刑者の方が一生懸命に働く

小澤さんについて調べていると、次の様な発言がありました。
“正直な話、普通の人を雇うよりも,犯罪者の方がいいと思っている。9 割はすぐ辞めてしまう。しかし、1 割は本気なやつなのです。
「後がない。ここしか働くところはない」と言い,一生懸命働いてくれる。”
 ※参考文献:独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業基盤研究(B)「非行少年・犯罪者に対する就労支援システムの展開可能性に関する考察」報告

ご自身の経験上、受刑者は熱心に働くと考えられているのですね。

セーフティネットとしての役割

北洋建設は再犯防止のセーフティネットとしての役割を担っています。

“仕事さえあれば、人は再犯をしない。仕事がないからやむを得ず、再犯をする”という発言を小澤さんがしています。
※参考文献:前科のある人よ、一緒に働こう! 北海道札幌市、再犯なき社会を目指す北洋建設の挑戦。不治の難病で余命があっても社長は飛び回る。

法務省の28年度の犯罪白書によると、年間22万人の検挙数のうち再犯が48.7%を占めています。
さらに驚きの数字が再犯の72%が無職ということです。

日本では犯罪者への視線が厳しい為、一度でも罪を犯すと雇ってくれる場所を探すのが困難になります。
出所後に住所がないことが、働く場所を見つけることの難易度を上げている要因でもあります。
上記の様な背景で、仕事を探しても見つからないので、刑務所に戻る手段として軽犯罪を犯してしまうのです。
さらには、北洋建設のある北海道のような寒い地域では野宿が出来ずホームレスにもなれない為、刑務所に入る為に罪を犯します。
北洋建設は再犯を予防している企業でもあるのです!

会社の特徴

褒めて伸ばす教育

まず褒めるということを重視されているように感じました。
刑務所や少年院に行くような人たちは褒められる機会が少ないままに育っている場合が多いです。
小澤さんが褒めたことをきっかけに態度がガラリと変わり、すごく良くなっていくと仰っていました。

マズローの5大欲求の中にも「承認欲求」として、人には”褒められたい・認められたい”という欲求があります。
北洋建設への所属、社員寮の提供で「生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求」は満たしており、
言葉で「承認欲求」を満たしているのですね。

歓迎会の実施

北洋建設では入社した日に歓迎会が実施されます。歓迎されるということは嬉しい限りです。
歓迎会には次の効果があります。皆さんの会社でも積極的に歓迎会を実施してみてはいかがでしょうか。

  • 入社後の不安を軽減させる
  • 仕事への意欲、会社への関心を高める
  • 社員同士の交流が深まる

能力よりも意欲重視

小澤さんは能力よりも「働く意欲」を何よりも重視されています。
現に入所者から働きたいという手紙が届けば、小澤さん自らが刑務所に出向き、面接を実施しています。
約9割は半年以内に退社するのですが、退社した者も再入社を希望した場合受け入れる姿勢。器の広さがうかがえますね。

北洋建設が取り組む活動

職親(しょくしん)プロジェクト

職親プロジェクトとは、少年院、刑務所の出院者、出所者を対象に就労の場所を提供することで、社会復帰を促すプロジェクトです。
2010年に厚生労働省が日本財団再犯防止プロジェクトとして関西で立ち上がりました。

2013年12月全国展開を機に、北洋建設も職親プロジェクトに参加しました。
2017年8月1日時点で参加企業数は95社です。
※日本財団再犯防止プロジェクトホームページ調べ

障がい者就労支援

北洋建設は北海道庁認証の働く障がい者を応援する「障がい者就労支援企業」です。
「障がい者就労支援企業」とは障がい者の多数雇用や授産事業所等への製品や作業の発注など、
障がい者の就労支援に積極的に取り組む企業等を北海道知事が認証をしている制度です。

「障がい者就労支援企業」は2017年2月21日時点で200社です。
※北海道庁公式ホームページ調べ

北海道の企業数は約151,401社なので、北海道で認定されている企業は0.001%になります。

補導委託先としての受け入れ

北洋建設では2004年から「補導委託」を引き受けています。
「補導委託」とは、家庭裁判所が少年の最終的な処分を決める前に、民間のボランティアの方に、非行のあった少年を
しばらくの間預け、少年に仕事や通学をさせながら、生活指導をしてもらうという制度です。

補導委託をしないと少年院行になる少年を受けて入れて、半年ほど、北洋建設の現場で働いてもらうそうだ。
引き受けた少年の中には、社長になった人もいる。地域のセーフティネットとしても北洋建設は機能をしている。

周辺地域の清掃・除雪活動

冬には毎朝、無償で近隣の除雪を行っています。
除雪作業は大変な作業ですので、地域社会への貢献をしています。
当初は元受刑者が働いているという理由だけで近所からは「お前の会社は犯罪者ばかりいる」と苦情がきていたそうです。
しかし、清掃や除雪をしているうちに、理解も深まり、感謝される関係に変わってったようです。

最後に

少年院や刑務所に入っていた人の世間のイメージはとても悪いです。
イメージが悪いので必然的に元受刑者を受け入れると会社の印象も悪くなります。
そんな中、北洋建設では元受刑者を積極的に採用をすることで、再犯防止に取り組んでいます。
再発防止だけではなく、就職困難者の社会復帰にも繋がります。
どういうことかと言うと、元受刑者が北洋建設を辞めることになっても職務経歴書に職歴を書けるので依然より、
就職難易度が下がります。社会のセーフティネットとして積極的に採用活動している小澤さんを応援したくて今回記事を書きました。

約9割が退職すると分かっていても、信じて採用する。採用した人は褒めて育てる。
それは母親のように温かくもあり、ときに父親のように厳しくもある。そんな北洋建設の社風が垣間見れたのではないでしょうか。
そんな北洋建設の後継者が心配です。企業はトップの想いで決まる部分があるので。。。

それでは、おやすみなさい!

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