こんなに違う!!海外と日本の新卒採用の考え方

こんなに違う!!海外と日本の新卒採用の考え方

こんにちは!人事組織コンサルタントの河畑福太郎です。

春を迎え、今年も新入社員が入社したところですが、既に来年度の新卒採用活動が始まってもいます。
ニュースや街中では、リクルートスーツに身を包んだ初々しい学生が就職活動をする姿を見かけることでしょう。

この、一斉に就活戦線がスタートする「新卒一括採用」は日本独特のもので、この採用方法には様々な批判などもあります。
今回は、海外での採用方法をご紹介し、日本と海外における採用に対する価値基準の違いを考えてみたいと思います。

世界の就職活動

1.アメリカ

アメリカでは、日本のような新卒一括採用という慣習はなく、必要な人員を必要な時に、通年採用しています。
そのため、いつでも希望の職業があれば、応募することが可能です。

 

厳しい学生生活が求められる

アメリカの大学生は勉強をいっぱいしないと落第すると言われています。
その通りで、アメリカではとにかく宿題の量も多く、成績が悪ければ容赦なく退学処分となってしまいます。

さらに、一般的には18歳を過ぎると親の資金援助はなく、自分でアルバイトをして学費を払う学生が多く、アルバイトもこなさなければなりません。
学費を払うためにローンを組み、就職後に自分で返済していくというのもよく見られ、最近では、学生ローンが払えない人が続出して社会問題にもなっています。

アメリカドラマのキラキラした大学生はごく一部。ほとんどの学生は、働きながら苦労して勉強しているのが実情です。

即戦力しか採用しない

日本では、新卒採用でも転職などでも、未経験者を採用してくれる企業がたくさんあります。

ところが、アメリカでは未経験者の採用はしません。必要な人材の欠員を募集しているので、即戦力となる人材しか求めていないのです。
そのため、日本のような新人研修をしてから配属するという考え方もありません。

「なになにの業務を行う〇〇というポジションの人を募集」し、それに対して採用されますので、採用された側は、
入社する前からどういう仕事をどんな条件で行うのかが分かっています。

インターンシップ制度での就職率が高い

「でも、学生が就職する時は、未経験者でしょ?」

いえいえ、そんなことはありません。

アメリカでは、産学連携が進んでおり、インターンシップが単位取得に連結しているのです。
そのため、学生時代から企業の長期インターンシップ制度に応募して経験をつみます。
もしくは、よほど学歴として認められる大学に在籍しながら、専門的な分野の知識を持っているかのどちらかになります。

全米大学就職協議会(NACE)によれば、2010年の企業の新卒採用のうち約45%がインターンシップからの採用だったそうです。
そのため、よりよいインターンシップ先を探す学生には、血まなこになる人も。

ちなみに、インターンシップの期間は一部の企業を除いては無給もしくは薄給ですので、生活費にはなりません。
あくまでも、将来の自分の可能性を自分で広げるための手段なのです。

 

2.ドイツ

ヨーロッパでは、学生時代の専攻を活かせる職種を選んで就職活動をする傾向があります。
学歴よりも実力が重視されるため、アメリカと同様に、インターン制度を使って最低でも6か月以上の実務経験を積みます。

卒業も就職もバラバラ

ドイツの大学では、卒業論文が完成すればすぐ卒業手続きはとられます。
つまり、いつでも本人次第で卒業というわけです。そのため、人によって卒業時期も異なれば、就職活動時期もバラバラです。

 

企業が確認するのは何ができるのかということ

ドイツでもインターン制度があることはすでに述べましたが、インターン期間は「本気」で働きます。
どういうことかと言うと、インターンでも、優秀な人はどんどん難易度の高い仕事を任せられますし、そうではない人には、それなりの仕事しか割り当てられません。

そして、インターン終了時には「修了書」が発行され、これが学生にとっても「職務経歴」となるわけなのです。

企業は、採用にあたってこの「何の実務経験があるのか?」を重視します。
逆に言うと、それ以外は全く関係ないのです。例えば、日本では「協調性」や「人当たりの良さ」などの、
目に見えないもので「社風に合うかどうか」を見られる傾向もありますが、ドイツではそういったものは一切関係ありません。

その学生がどんな仕事ができるのか、インターンでどういった種類の実務をしたのか?しか興味がないのです。
だって、企業が求めているのは「即戦力」ですから。

3.韓国

ここまで、アメリカ、ドイツと欧米の採用についてご紹介してきましたが、ここでアジアからお隣韓国の就職事情をご紹介します。

韓国では、学生の就職活動は過酷だと言われ、子供のころからの受験戦争が企業に就職するまで延々と続くと言われています。
就職活動の形式は日本と似ていると言いますが、なぜ過酷なのでしょうか?

 

競争が激化している理由

学生の就職先としては、財閥系企業が圧倒的な人気を誇っており、競争率が激化しています。その倍率たるや、数百倍~1,000倍とも。

こうした風潮は、1997年のアジア通貨危機に端を発しています。
経済の悪化で痛みを経験した企業は、正社員よりも契約社員を増やし、景気によって人員のコントロールをしてきました。
これは現在も続いており、不安定な生活を余儀なくされている人の生活は非常に厳しく、契約社員の月給は月に数万円程度なのだそう。

そのため、数少ない正社員としての安定を求めて、競争が激化しているのです。

高スペックが当たり前「8大スペック」

学生はその難関を突破しようとスペックを積み上げることにやっきになっています。

必要なスペックは、難関大学出身であることはもちろん、大学入学後の成績、TOEIC800点以上は最低条件で、
その他にも、資格や語学留学経験、何らかの受賞経験、インターンシップ経験、ボランティア経験などが必要と言われ、あわせて「8大スペック」と言われています。

これでは学生は遊ぶ暇もなく、常に学業に励む他ありませんね。

日本と海外のインターンシップの違い

 

日本でも導入が進むインターンシップ制度

 

ここで、各国で導入されている、インターンシップについて少し触れたいと思います。

近年、日本でもインターンシップ制度を導入する企業が急激に増加しています。
2008年と2011年の文部科学省の調査によると、インターンシップを導入する大学は70.3%、受け入れをする企業も40%ほどになっています。

日本でも浸透してきたインターンシップ制度なのですが、諸外国と目的は大きく異なっています。

日本におけるインターンシップの目的

主な目的は2つあると言われています。

ひとつは、離職率の低下です。インターンシップによって入社前に業務に触れることによって学生の企業に対する理解が深まり、
入社後もスムーズに業務に入れるため、ミスマッチによる離職を防ぐ効果があると言われています。

二つ目は、就活生の学業圧迫を減らすために就活シーズンのスタートが後ろ倒しになった経緯から、
企業は短縮された期間で優秀な学生を青田買いしようとして、インターンシップを利用しているのです。

日本の採用と海外の採用の違い

日本の新卒採用方法はおかしい?

ネットでは「日本の就活って変じゃない?」という言葉があふれています。

その主な理由を拾ってみると、

  • なんでみんな同じリクルートスーツ着てんの
  • 自己PRのうまいヤツが合格するって変
  • 実力とか人間性とか入社試験で分かるわけがない
  • 筆記テストとか業務に関係ないから無意味
  • 新卒じゃないと価値がないって変

こんな感じでしょうか(笑)。

言いたいことは分かります。確かに、海外では実力(実績)重視の採用をしており、採用される方も、結果に納得感があるのかとは思います。

では、欧米や韓国のような、超・実力主義の採用の方がいいのか?というと、一概にそうとも言えません。日本の採用には日本ならではの価値観が反映されているのです。

 

若者に優しい日本ならではの価値観

日本の企業では、「学生なんだから実務を知らなくても当然、社会経験もないので、会社に入ってから覚えてくれればいいんだよ」というスタンスで採用をしています。
学生の将来性に投資してくれているのです。

学生が会社にとっての利益を生み出すようになるまでは、教育して食わせてあげるつもりで採用するので、
「この人は入社後にちゃんと覚えられそうかな」「教えてくれる先輩社員とうまくできるかな」という、
数値化できない人柄や性格、資質などに採用基準を置きがちになります。

日本では従業員の解雇ができない

加えて、日本では労働基準法や労働契約法で従業員の立場が守られており、雇用主が簡単に従業員を解雇することはできません。
そのため、一度雇用したら、雇用し続けなければならない社会的な責務も担っています。

結婚で例えてみると、誰だって一生添い遂げる相手と思えば、慎重に選ぶのではないでしょうか。
決して今日のファッションや、去年の年収や資格の数だけで選んだりしないはずです。

「一生一緒にいるのなら、性格重視」なんて思う人も多いでしょう。

人材が流動的な海外

反対に、海外では比較的簡単に従業員を解雇することもできます。
海外の映画やドラマなんかで、“You’re fired!(お前はクビだ)”っていうセリフよく聞きますよね。
その代わり、常に人材が流動化しており、欠員募集も随時されています。これは実力を積んですぐに仕事を得たい人には有利な仕組みです。

つまり、日本企業は生涯の伴侶を選んでいるようなものなのに対し、
欧米は企業の事情に合わせて必要な人員として必要な時だけいてくれればいい相手を探していると考えられなくもないのです。

まとめ

日本の採用方法は、世界の中でもかなり特殊だと言われています。
特に一括新卒採用や、新卒採用重視の風潮は海外ではほとんどありません。
この風潮は、日本の企業は海外の企業に比べて雇用に対する重責(ある意味足かせ)があるため、
より長く社員の生活を支えようという背景から生まれたものとも言えます。

かつて、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたころの日本を作った人たちも、
今よりもっと「人間性」や「協調性」と言った価値観が重視されていた時代に採用された人たちです。
その人たちが、世界でも有数の経済大国を作り上げたのには、成長しよう、いいものを作ろう、今までになかったものを作ろうという「意欲」があったからなのかもしれません。

要は、成長する社会のためには、採用の基準や価値観の違いよりも個々の労働に対する取り組み方の方が議論されるべきなのです。

人材マネジメントにおいても、社員のモチベーションをあげるためのスキルアップや、ワークライフバランスの改善などを通して、
エンゲージメントを高めていく取り組みがカギとなるでしょう。

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